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訪問看護でみた「終末期」のリアル

― 5年間の訪問リハで感じたことを、ゆるっと ―

私は理学療法士として、約5年間訪問看護でリハビリに携わってきました。
その中で深く関わったのが、終末期の利用者さんとご家族

「最後はできれば自宅で過ごしたい」
そう願う方は今でも多くいらっしゃいます。

しかし現代は核家族化が進み、同居の家族が少なくなっているのも事実。
それでも「最期は家で」と決断するご家族のお話をひとつ紹介したいと思います。


余命3か月と告げられたご家族

ある利用者さんには、県外に住む息子さんと娘さんがいました。
どちらも飛行機や新幹線でなければ来られない距離。

医師から余命3か月と告げられたとき、家族会議が開かれました。
「最後は本人の思いを尊重して、自宅で看よう」
そう決意され、看護休暇や有給を使いながら交代で介護することに。


しかし現実は、そんなに予定どおりではない

最初の1か月、2か月…
そして3か月が過ぎ、4か月目に入りました。

その頃になると、おそらく職場と電話をしてきた息子さんが
「すみません…はい、まだ元気で…いや、いいことなんですが…」
と、申し訳なさそうに笑っていました。

別の週、娘さんは
「子どもたちを向こうに置いてきてて、少し心配で…」
と、複雑な表情。

そう、余命はあくまで“予測”
終わりが見えない介護は、想像以上に心をすり減らします。

しかもこの方は血液検査の数値が良くなることもあり、
「嬉しいけど、どうしよう…」
そんな家族の“良かったね……でも”という気持ちが痛いほど伝わってきました。


そして迎えた、5か月目

「そろそろもう一度家族会議をしましょう」
そう提案した矢先、その方は急変され、看取られることになりました。

息子さんも娘さんも、
「最後までそばにいられて良かった」
とホッとされた表情をしていました。


訪問で働いていて感じたこと

終末期だけでなく、
普段の生活や通院、日々の介護でも、“遠方の家族”という要素は大きな課題になります。

離れて暮らしているからこそ、
元気なうちに、家族で時々話し合っておくことが本当に大切。

  • もしもの時はどうしたいのか
  • 誰がどのように関わるのか
  • どこで過ごしたいのか

これらは早めに話しておくだけで、その後の選択や心の負担がまったく違います。

もしこの記事が、どこかのご家族のヒントになれば嬉しいです。

カテゴリー:医療・介護